なんもない時間

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ノート開いて恋せよ乙女


先日、阿佐ヶ谷ネクストサンデーでライブで、共演者である藤原愛さんの歌を聴いていたとき、
「白菜の葉を剥いで洗う ひと葉 ひと葉」といったようなくだりがありました。

「ひと葉 ひと葉」「ひとは ひとは」

「ひと葉 ひと葉」という言葉を発音することは、どんなに心地よく、また白菜の葉の重みや冷たさや柔らかい質感を蘇らせることなのだろう。そしてそれを自分の声に乗せてマイクで拾ってスピーカーで通して自分の耳で聴く事はどんなに幸福な時間なのだろう。想像が出来る気がする、けれど間違いなく体験はそれを遥かに超えている。
どうして自分で先に思い付けなかったんだこんなにも簡単で身近な言葉なのに。と、悔しくなりました。僕は向上心が希薄なので人のライブを見て悔しくなる事なんて今までなかったのに、初めて泣きそうな程悔しくなりました。もう自分は一生マイクを通して「ひと葉 ひと葉」と発音する事は出来ないのだ、というところまで気持ちが届いてしまう程でした。勿論スタジオで一人こっそりとマイクを立てて「ひと葉 ひと葉」と呟いてみたっていい。だけどそれは恋する少女が好きな人の名字の下に自分の名前を書いてみるようなもので、それをするにはあまりに歳を取ったと思うのです。(この喩えはとても的を射ていてこれを思い付いた自分だけは褒めてやりたい)
藤原さんのライブはあまりに素晴らしくて、魅入っていた分だけ衝撃が大きかった。突然殴られた後のような白い頭は「ひと葉 ひと葉」にすっかり支配されてしまい、それからはステージ上で吸い込んだ空気をひとはひとはと吐き出す藤原さんを心底羨ましく思いながら見つめていた。

演奏の後、上手く言葉になりそうにもない気持ちを恐る恐る本人に告げてみると、藤原さんは僕のたどたどしい説明を辛抱強く聞いてくれて、しっかりと内容を汲み取ってくれた。話をしていると本当に言葉を大切に大切に、手に取って可愛がるように扱っているのがわかった。こんな人に掬い上げてもらって「ひと葉 ひと葉」も幸せだろうが、やはり実に悔しいのであった。

翌晩、作った食事が白菜をたっぷり入れた中華スープとちぢみ菜のお浸しだったのも今にして思えば未練がたらたらというかもうずるんずるんだったからだろう。

今年は色々な「一生忘れないだろうの日」があったけれど、この「ひと葉 ひと葉」への失恋もしばらく忘れられそうにない。
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  1. 2015/12/18(金) 23:21:57|
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話すことないけど恋せよ乙女


去年の夏から書いてなかったブログですが久々に書いてみようかと思い立ちました。
やっぱり一人暮らしの時はよく書いてたなぁ、と思います。自分の思いを文字に起こして伝えるっていうことはあの頃の方が長けていたように思います。たった2.3年程度前のことを「あの頃」とか言っちゃうくらいには昔に感じていることに少し驚きます。変わったんですきっと。いろいろ。


書く事ねえな。最近なー。なんだろーな。
もうあのあれ、寒くてね。毎日寒くてほんとに。朝とか冷えますね実際。昼間はね、あったかいけども意外と。でもまぁ帰り道が冷えますよ結局。ねぇ。もう10月も半ばですからね。いやしかしあっという間ですよねほんとに。今年もあれじゃないですかあと2ヶ月ちょいとかですから。年々早くなってくる感じしますよねー。なんかねー。いやいやほんとですよー。この調子であっという間に30ですよー。あはははー!…はーぁ…。ねー…ほんと…。…。

あれあのー…。
みなさん年末はご実家に?





また書きます。
告知したかっただけなんだと思います。




11月14日(土)に僕がやってるバンド、collageのライブがあります。阿佐ヶ谷ネクストサンデーで。
collageはなんかいい感じに成熟してきました。ほんとにいい感じなので是非見に来ていただきたい。一年に1回か2回くらいしかやらないライブなので、気が向いた方から向かない方までがんがん遊びに来て下さい。


2015/11/14(Sat)
阿佐ヶ谷ネクストサンデー
NextSunday 10th Anniversary!!
『ミュージックオノマトピア』

OPEN:18:30
START:19:00

チケット¥2000

出演
キャメル
collage
プレーンズ
& more・・・!


collageはyoutubeのPR動画があります。シンプルながらかっちょいいので見てみて下さい。


11月はソロライブがまだ決まっていませんが、もういっこやってるhermitっていう男子3人のバンドのライブと、おさんぽっていうピアノ女子とやってるユニットのライブがあります。
hermitは26日、ネクストサンデーで初ライブです。
おさんぽは30日、おなじみシルエレです。
これらも後日詳しく告知します。
  1. 2015/10/20(火) 22:09:26|
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海を眺めて恋せよ乙女

「最近どうですか?」

大人になってからこういう質問をされる事が増えた。

はっきり言って上手く返答出来た事がない。大抵は「最近ですか?う〜ん...」などと悩んだ挙げ句に「運動不足がすごいですね」とかゴミみたいな返事をしてしまう。
ニュースはある。後から思い返すとちゃんとそれなりに日常の中に語れる出来事は存在するのだ。だけれど瞬時に引き出せない。僕はあまり頭の回転が早くないので、ひとつひとつゆっくり考えながらでないと話が出来ない。なのでそういう瞬発力のある人にはついつい憧れてしまう。質問に適した答えとぴったりの言葉をさっと引き出せる人を見るとうっとりしてしまう。



先日、鴨川シーワールドに行った。青春18きっぷを使って片道3時間半かけて。始発に乗ってゆき、夜中に帰ってきた。

シャチのショー、ペリカンの散歩、エイの裏側、眠れないアザラシ。見ていて飽きないものばかりだった。
昼食のバイキングにはシーフードが多く並んでいた。


鴨川シーワールドは海岸沿いにある。閉館後、砂浜へ行きしばらく海を見ていた。
海を眺めるのは久々だった。砂がたくさんと塩水がたくさん。一定の周期で波がざざんとしていた。特別な演出も仕掛けもない、それだけの繰り返しをじっと見ていた。なんで飽きないんだろう、と思いながら見ていた。海は広いな大きいからだろうか。

うみはひろいなおおきいな

というこの歌詞を僕は密かにバカにしていた。バカが書いた詞かと思っていた。けれど実際に海を眺めるうちに思ったのはひろくておおきいなという事だった。そのくらい広くて大きかった。ごめんなさいって思った。海をずっと眺めてたら頭がだんだん空っぽになってバカにもなるよねって思った。しかし良いバカになれるなぁと思った。

そうだ、今度「最近どうですか?」と聞かれたらこの事を話そう。

「海へ行きました。鴨川に行きました。シーワールドでシャチやペリカンやエイやアザラシを見ました。砂浜へ行って海をたくさん眺めて、バカになったけど良いバカなんです」
話せる思い出が出来た。忘れずにいよう。きっと忘れずに話そう。素敵な思い出を自慢してやろう。ここへ来て本当に良かった。




今日は古本屋のバイトだった。常連のお客さんと本の話に花が咲く。

「ところで最近はどうですか?」

「最近ですか。目が全然見えません。あ、ちげぇ!海行きました!」



おしまい
  1. 2014/07/25(金) 23:28:11|
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意味を持たせて恋せよ乙女

発音が好きな言葉というのがある。

ささやか
おとなしい
清潔
ハサミ

立ち姿

などなど。意味に引っ張られていないとは断言出来ないけれど、発音そのものがとても心地よく、何度も発したくなる。
こうして並べて見ると自分は「さしすせそ」に弱いのかとも思ってしまうけれど

居眠り
宇宙
毅然
なずな
みどり

なども大好きだ。

「いねむり」という響きは実際の意味にピッタリ合っていると思う。そもそも僕は「ねむり」系が好きで、「ねむたい」なんかも特に好きである。自分が正に眠たい時、「ねむい」よりも「ねむたい」の方があの眠りの際の独特の甘みを隅々まで表現しているように思える。

他にも、


花火師
見識
封筒
スズメ
三階

など、挙げていけばきりがない。
「三階」に関して、僕は「さんかい」派だ。
「さんがい」では何となく品がない。「さんかい」には巨大さと静けさと寂しさを感じる。それでいて口の動きは爽やかで、発音がとても気持ちよい。こんなに素敵な発音なのに、同音異義語が思い付かない。強いて言えば「三回」だけれど、このイントネーションはどうにも好ましくない。

散開
散会
山海
山塊
参会
刪改
三戒
三槐
散灰

調べてみたら案外たくさん見つかった。知らない単語ばかりだった。「散灰」というのは遺灰を海や山に撒くことだという。その行為に名前があった事が驚きである。
「さんかい」はやはり「三階」なのだ。身近な「さんかい」がないからこそ「さんがい」を使わなくても困らない。


言葉について、常に厳密であろうとしている。それでいて潔癖にならない事が難しくて、未だにバランスは悪いままだけれど。僕は日本語が好きなのだ。それを大人になってから嫌というほど実感する。歌うことの満足も、気持ちよく好きな言葉を発音出来る快感がかなり大きく占めている。

単純な言葉ほど場面や声の調子や発した人の表情や気配などによって大きく印象を変えるもので、歌を歌ったり聴いたりするとその現象に触れる事がとても増える。僕はそういう瞬間がたまらなく好きなのだ。
先日、「かわいいトラウマ」という歌を作った。タイトルが決まった時、僕は自分でつけたそれが曲のイメージにぴったりと角を合わせて重なり合うのを感じて嬉しくて何度も頭の中でそれを繰り返した。実際に発音したりもした。自分の思い出や空想を納得のいくように明言できる事を僕はいつだって望んでいる。だからそれが実現すると涙ぐむ思いがする。あとは楽しむだけなのだ。何度も何度も一生かけて同じ思い出や同じ空想を発音して反芻する。歌は一生ものだ。



発音の好みから話がずれてしまった。

ひさらける
たみざ
まきしな

上記の3つは発音の好みだけで僕が勝手に作った単語だ。
意味さえ生まれれば使ってみたいと思う。

以上、まきしなではあるけれど、たみざのくる前にひさらけるとしよう。
  1. 2014/07/13(日) 00:46:35|
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膜を脱ぎ捨て恋せよ乙女

先週、アイスチャイがとても美味しかった話をしようと思います。

立川でよくスタジオリハをするんです。立川といえば友達がやっているカフェがある。その名もペンタメローネ。

立川でのリハの度に僕はここを訪れているのだけれど、コーヒーしか飲まないのであまりメニューをよく知らない。よく訪れるカフェ、というのはいくつかあるのだけれど、いつもそうだ。カフェや喫茶店などというものは多くの場合において一人で行くもので、そういうとき、僕はあまりメニューに目を通さないのだ。温かいコーヒーはどんな時でも美味しい。
けれどその日はアイスチャイを注文した。

暑かったのだ。ギターを背負って立川駅から歩いた。駅には排気ガスが重たく籠っていた。タバコ屋が休みで一つ遠いコンビニに寄った。
大した暑さではなかったけれど、嫌な暑さだった。

まとわりつく薄い膜のような暑さを破いて捨てたかった。
だからアイスチャイ?と今では思うのだけれど。
ペンタメローネのドアを開くと、店長である友達が歓迎をしてくれる。
互いの近況を報告しつつメニューをちらりと見ると、「アイスチャイ」の文字が。
ずいぶんと目につきやすい所に書かれていたように思う。もしかしたらまんまと季節のオススメメニュー的なものを頼まされてしまったのかも知れない。

喫煙席に運ばれてきたアイスチャイは氷がころんと音を立てて涼しげだった。
一口飲んだら喉がごくんと鳴った。びっくりするほどおいしかった。しっかり甘いのだけれどシナモンがふんわりと香って清々しい。冷たさを保ったまま内蔵に滑り込んでいくのがわかる。渇いたところに隅々までしみていく。チャイでこんなに潤うとは思わなかった。嬉しくなってしまう。

膜が破れて剥がれて風が肌を直に触ってすかっと涼しく、のんびりした気分になったので本を読みながらすっかり長居してしまった。

本を読み終えた頃には夕方になっていた。夏の訪れを知らせるような夕方だった。

ペンタメローネの喫煙席は疎外感がなく、空間がとても清潔だ。窓を向いた小さなスペースで、僕はここを縁側のようだ、と思う。
窓が少し開いていて、そこから下校中の子供の声が聴こえる。向かいのバッティングセンターの音が聴こえる。梅雨を前にした空気が入ってくる。
タバコの煙がゆらゆらとして、色んなことが安らいでゆく。

今日はアイスチャイを選んで良かった、と思った。一日中が全部が全部晴れ晴れしいものになった。

以上、アイスチャイがとても美味しかった話でした。


今月はあと一本弾き語りをします。

5月25日(日)東高円寺Kaztou

Nagao collection
「思い通りに喋れるんなら歌なんか歌わないだろう」

OPEN 18:00/START 18:20 1500円+1Drink


小宮隆子
野良色ブルー
服部みのり
利根川風太


僕は5番手で8時半くらいからです。お時間あったら是非。イベント名が素敵ですよね。


おしまい。
  1. 2014/05/20(火) 21:48:19|
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都内で弾き語りとか最近バンドとかやってます。

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